月別アーカイブ: 2004年5月

備忘録<その37>

 ●えっと,前回Finaleのことを散々「難解」だの「煩雑」だの書いてしまいましたが,一応「Finale」の名誉のために言っておくと,現在やぢまが使っている「Finale2003」はそれまで長く使ってきた「Finale2000」よりも大分使いやすいです。多機能になった分動作は若干重くなってしまいましたが,図形が異常に多く使われている楽譜などでなければG4の400MHz(やぢまの以前のマシン)程度でも十分実用に耐えますし,おびただしい数の諸機能を何とかユーザーに覚えてもらおうとする工夫もそこアこに散見できます。現在では「2004」が発売されており,やぢまは使ってみた事はありませんがきっとさらに使いやすくさらに重くなっている事でしょう。前回のMeditationはあくまでも「譜面は読む側の身になって書こう」という主旨でしたのでそこんとこよろしく。ふぃなーれは,とってもべんりだよ!

 ●前にうちの近所のウグイスの話をしたけれど,今度はうちから2分程歩いた空き地の前で太ったリスを見かけた。電柱を支えている杭をどんどん上っていこうとするので「感電するよ」と声をかけたら一目散に駈け降りて林の中に逃げ込んでしまった。意味が判ったわけではなく驚いただけなのだろうけど。

 ●ナット(上駒)の交換に出していた2号機はピカピカのナットをくっつけて戻ってきました。指板もフレットもきれいにクリーニングされていて,ろくに掃除もせずに使っていた自分がちょっと恥ずかしくなりました。ヤマハ首都圏サービスセンターの阿部さん,楽器に対する深い愛情を感じます。

 ●次回は6/16までライブもないんだけれど,その間ヤマハ音楽教室の発表会の伴奏などを頼まれておりてんてこ舞いの日々を送っております。発表会の仕事を頼まれると1日に20曲近くも弾かなければならない事もザラなんだけれど,今回家に送られてきた譜面の総数はなんと40曲。昨日リハーサルが朝の9:30からあったのだけれど,最後の曲を弾く19:30頃には最初の曲の内容はもう忘れていました。右手の指先も何か変な色になってたし。過酷。

 ●K-1の大会が一つある毎に公式サイトで「今回の最大視聴率は○%!!」とか言ってるのを見てると情けなくなってくる。そんなに視聴率が大事なら次の大会のメインは「ボブ・サップ vs ヒグマ」とかにすれば。<本当にやりそうでちょっとコワイ


 

ゆかいなFinaleくん

 楽譜出版に欠かす事のできない「Finale」という楽譜浄書ソフトがあります。ジャズから現代音楽まで殆どどんなスタイルの譜面にも対応できてしまう極めて高機能なソフトなのですが,最近いろいろな仕事で渡される譜面が意味もなくFinaleで作成されているものが多い事に辟易しているのです。

 

 Finaleを手に入れたミュージシャンがプリントアウトした譜面は,その人の手書きの譜面より遥かに見づらいことが殆どなんです。Finaleは非常に多機能である反面,それらを使いこなす事や機能自体を呼び出す手順を覚える事の煩雑さと言ったら他のソフトとは比較にならないほどです。音符や記号を入力する手順くらいは大体誰でも覚えられるのですが,音符の微妙な配置や図形の作成のところでたいていの人は躓(つまず)きますし,出版物と同じクォリティの楽譜を独学で作るとなると相当な年月と労力と気合いと根性が必要なはずです。結果,ミュージシャンがFinaleを手に入れて一朝一夕で作った譜面は,臨時記号と隣の音符が重なっていたり段間が異常に狭かったりしてとても読めたものでは無くなってしまうのです。

 これはそのミュージシャンに譜面を書く能力がないからではなく,Finaleがあまりに難解なために本来の「見やすい譜面を作る」というレベルまでなかなか達しないからだと思います。例えば手書きで譜面を書く際には読みやすく書くために「細かい音符には広くスペースを取る」とか「コードはリズムにそった場所に置く」といった感覚的なことを自然に励行するものですが,これがFinaleの場合,例えば「このコードをもう1mm右にずらしたいんだけど」とか「ここは全休符も何もない空白の小節にしたいナ」と思ってもまずその方法を調べるところから始めなきゃなんない。しかもあまりに機能が多すぎてマニュアルを繰ってもそれらの方法を見つける事すらできない。たいていの場合ここで「まあいいか」と妥協してしまい,数々の妥協が集積した結果出来上がった譜面は「音符や記号などのキャラクタが出版物と一緒」というだけの,「『見やすい楽譜』からは程遠い何か」にならざるを得ない。…ということなんではないかと思います。

 ミュージシャンは譜面を読むのも仕事ですし,おそらく読み書きをしていくうちに読みやすい譜面を書く能力がある程度自然に備わっていくものなのでしょう。現に今まで仕事で渡された手書きの譜面で「読み進む事すらできない」ほどひどいものは見た事がありません。しかし「そんな事当然でしょ」と言うなかれ,これが浄書ソフトで作成されたものだと本当に読めないほどの「傑作」も少なくないんです。同業者の中には同じ苦労をされたことのある方もきっと多い事と思いますが,なかなか言えませんよね「読みづらくなるくらいなら手で書けっつーの」なんて(笑)

 まぁ誤解される事もないと思いますが「Finaleを使う事自体が悪い」と言っているわけではもちろんありません。現に楽譜出版の世界ではFinaleは第一線で活躍しているわけですから。しかし出版されている美しい楽譜の数々はそれらに携わっている方達の不断の努力と創意工夫があって初めて完成されているのであって,その凄絶な苦労と「もっと読みやすく,さらに読みやすく」という執念を知ってしまうとミュージシャンも楽譜の「浄書」に関しては所詮アマチュアに過ぎないのだと思い知らされます。

 やぢまも楽譜浄書の仕事だけでなく,自作曲を浄書する時にも積極的にFinaleを使います。しかし浄書する必要のない「最低限読める譜面」を火急に作らなければならない時にはやっぱり手書きの方が遥かに効率がいいんです。音符の書き込みの速さ自体は私の場合Finaleも手書きもそう変わりありませんが,Finaleですと譜面全体を読みやすくする作業に後で時間を取られてしまいますから。手書きならその辺同時進行ですしね。で,演奏の仕事で初見などを強いられる際に必要になるのは浄書であれ草書であれ,とにかく「読み進めやすい譜面」だと思うんですよ。

 

 

 要はこの話,「Finaleか手書きか」という話ですらなく,「自分で書いた譜面自分で読み直してますか」という事なのですが。


 

禽獣とともに

 横浜市の南端に引っ越してきて初めての春がそろそろ終わろうとしていますが,春を過ごしてみて初めて知ったのはうちの目の前にある林がウグイスの生息地であるらしい事。毎朝,相当大きな声で何度も「ホケキョ!」とやらかしてくれるので眠くてもつい目が覚めてしまう(←こんなのばっか)。うちの前だけでなく近所には比較的緑が多くてその辺は私も凄く気に入っているのだけれど,それでも新たなマンションを建てるために駅の裏手にあった山を切りくずすなど次第に開発が進んでいる模様。集合住宅に住んでいる身としてあまり偉そうな事は言えないけれど,やっぱり永い時間をかけて育った林や森をマンションごときのために壊して欲しくはない。うちの近所ではゴミの集積所に例外なくネットがかけてあるけれど,カラスが増えるのだって「さもありなん」としか言い様がないッスよ。はたして何年先の春までこのウグイスの声が聞けるのか…などと思っているうちに迎える台風の季節。


 

山に囲まれた我が家

 妙蓮寺に住んでいた頃は学生の時に買ったミニコンポをずっと使っていて,よく家でナイター中継を聴きながら仕事をしたりしていました。そのコンポは去年の引っ越しの時に捨ててしまったので,いずれラジオチューナーを買ってオーディオ(参照)の中に組み入れてしまおうと常々考えていました。が,最近仕事のせいで昼夜が逆転してる時に「昼間に寝る時音楽をかけながら寝たいなぁ」という欲求が頭をもたげてきまして,まぁそれだったら移動できないチューナーをバラで買うよりもちっこいラジカセを買った方がいいかな,と思い立ち2万円くらいのやつを近所の電器屋で買って来ました(ラジカセといってもCD/MDのみでカセットは聴けないのですが)。引っ越す前はJ-WAVEをよく聴いていたのでFMは81.3MHzに合っていればそれで良かったのですが,一応他局も聴けるようにアンテナを立てて周波数をスキャンしてみました。

… … … … … … … … … … … … 84.7 … … … … …

 我が家ではFM Yokohamaしか聴けない事が判明しました(泣)。