最近外での演奏が少ないのでそろそろ皆さんも私の顔を忘れかけてきてる頃なんぢゃないかと思います。まぁ私もそろそろベースの弾き方を忘れかけている頃なのでお互い様ですよね。何が。
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「ベースの弾き方を忘れる」なんて冗談みたいな話ですけど,これって私ら楽器を弾く人間から見ると全然笑えない話なんですよね。実際ミュージシャンと言えども何ヵ月も楽器に触らないでいると全然弾けなくなってしまうし。実は私も2001年6月に「Hittin’11」に参加する以前の半年間くらいほとんど楽器を触っていなかった時期があったんですが,もう手に力が入らなくなっていてリハビリに大変往生した記憶があります。何せ左手の指先が痛くて弦を押さえ続けることすらできなかったんだから。それでも何とか「Hittin’11」のリハと本番をこなして(自分としては散々な演奏でした)以後のライブにも参加できるようになったわけなのですが,…まったく今だからできる話ですよねこんなの。
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その後周囲のミュージシャンからも同じような話をいろいろと聞く機会があったわけなのですが,みんながよく言うのはやはり「あ,練習しなきゃ」という強迫観念めいたものを恒常的に持ち続けているということ。それに自分でどう対処するのかは人それぞれなんだと思いますが,技術を向上させたり新しい音楽を生み出したりするのに1分1秒を惜しむ気持ちは,名声や業界での位置付けなどとは関係なく,音楽家一人ひとりにとって充実した生き方をするための糧として不可欠なものなのではないかと思います。確かに「オマエそんなこと言ってる場合ぢゃないだろ」的な緊急時においてもなぜか「あ,練習練習」のような事を考えてしまうのは普通の人(語弊は承知ですが)から見れば「甘い」とも「人間味がない」ともとられてしまいそうな危うさを孕んではいますが。まぁこの辺は表現や創作を生業としている人以外には理解できない,埋めがたい溝なのかも知れませんけど。