割と最近の話なのにどんなシチュエーションだったか思い出せないんだけど,知り合ってまだ日の浅いミュージシャンに「やぢまさんの趣味って何? ベース以外で」って訊かれて全く答えられなかったのですよ。子供の頃は昆虫採集とか天体観測とか割とハカセ系な趣味がたくさんあったような気がするんだけど,今はベースの他にこれといって入れ込んでいるものもないし,「音楽鑑賞」とか言っても普通の人と違って全然安らげない聴き方をしている事が多いわけです。「趣味」とは「専門的ではなく,楽しみにすること」(三省堂 大辞林)らしいので,私にとってはベースは趣味とは言えず,「やぢま=無趣味の人」ということを認めざるを得ない,と。
話は変わりますが,いつだったか私と同じヤマハでピアノを教えている先生から「生徒にもいろんな人がいてね,例えば女性とかで『今日はレッスンしなくていいから先生のピアノを30分聴きたいワ』なんて言い出す人がいたりするんだよ」という話を聞いてのけぞった事があります。もしオレの生徒がそのような寝言をおほざきになったら? そりゃあもうよく研いである大型の斧で脳天からまっぷたつ,一瞬たりとも苦しまず速やかに逝ってもr何でもありません。ですがね,「お金払ってんだから30分のレッスン時間をどんな風に使ったってこっちの自由でしょ」っていうのは大きな考え違いだと思うんですよ。そりゃ講師は演奏者でもあるけれど,人にモノを教える時と人前で演奏を披露する時ではそれぞれ違う覚悟ってもんがあるんですから。レッスン料は技術を伝授する事に対する報酬であって,時間そのものの対価ではないんです。
幸いにしてやぢまの生徒さんはその殆どがよく練習して来る人達です。先日とあるギターの先生が「いいなぁ,オレの生徒なんて半分くらいは練習してこない子だよ」と仰ってましたがそれはベースとギターという楽器の違いもあるかもしれません。どちらかと言うと地味な楽器であるベースを敢えて習おうとする人は,抽象的な憧れでなく地道に上手くなろうという具体的な願望を最初から持っている人が多いと思いますから。そういう生徒を見慣れているせいもあると思いますが,趣味というものを持たないワタクシには「上達しなくてもいいから息抜き代わりにレッスンに通う」という人の気持ちが全く理解できないんです。もちろんそういうのが全く平気な,「曲弾いて」なんて言われたらホイホイ弾いちゃう先生も中には居るのでしょうし,息抜きで習い事をしたい人はそういう先生の元に通えばいいのかもしれませんね。でもベースという楽器を愛する者の目から見ると,普段全く弾いてもらえないのに息抜き代わりのレッスンのためだけに使われている楽器は不憫に思えてなりません。あと講師も人間なので,同じことを何度も言わせて平気な相手かどうか事前によく見極められるがよろしいかと思います。
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