全然気づかなかった微負傷

 先日お風呂に入った時「イテッ,何か右腕が沁みるな」と思って見てみると上腕部に全然覚えの無い引っ搔き傷がいくつも。少々びっくりしたもののこういう経験は今までに皆無ではなく,概ね機材の搬入出の時に壁に擦ったりして知らないうちに怪我をしているケースが多い。でも引っ搔き傷ってのは珍しいよなー,などと思いつつそんなに気にもせずその晩は風呂から上がって歯磨いて就寝。

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 翌晩,また風呂に入った時「イテッ」。おかしいな,そんな昨日の引っ搔き傷が一晩経っても痛い訳が…などと思って右腕を見て仰天。


生傷が倍に増えてた

 全然思い当たるフシがなくさすがにちょっとしたパニックに。家族には「アナタ私に隠れて猫飼ってんでしょ」とか言われるし,でも今は飼ってないし。全くもって気味が悪い。第一こんなに怪我してるのに一日の終わりまで気づかない自分が怖い。

 ともかく気持ちを落ち着かせてその日と前日の自分の行動の共通点を探してみたのだけど,「ベース弾いてた」事くらいしか思いつかない。搬入出はその日はしてたけど,前日はしてない。確かに右腕はベースに関係ありそうだけど,こんな怪我をした事なんて一度も無いんだけどなー…あっ。

 一つ思い当たる点があって,よく使っているベース(エルリック6弦)のブリッジを見てみた。ベースの弦の根元はボールエンドという金属パーツに細い芯線が巻き付けてあって,まれにこの芯線の先が飛び出ていて弦交換の時に指に刺さったりする事があるのだ。きっとスラップした時にこの芯線が腕に刺さっていたんではないだろうか。ライブ中だったのでテンション上がってて怪我してるのに気づかなかったんだよ。そうだよきっと。…ところが。


異常なし

 とんだ濡れ衣を弦に着せてしまった模様。どの弦からも芯線は飛び出ていないし,第一怪我をした箇所はブリッジには全然当たらない。むしろ2フィンガーの時にベースのボディ側面が触れる場所。もちろん塗装が剥がれてもいないボディ表面にササクレなどできる訳がないし,他の楽器だって…あ。


発見

 原因はVeilletteフレットレスでした。これ,どうなっているのかというと,ハムノイズを回避するためにボディに銅箔を貼ってるんです。で,演奏中常に腕に触れさせてアースを落としていると。普通のベースならこんな細工は必要ないのですが,ナイロン弦を張るこの楽器ではこうでもしないとアースがうまく落ちないんです。
 銅箔は貼ったばかりの時は柔らかいんですが時間が経つとどんどん強張って来てしまうんですよね。で,皺になった部分は剥がれると鋭利に尖るんです。金属ですからね。そこに裸の腕を知らずに乗せてノリノリでベースを弾いてた私。気付けよ私。

 …まぁともかくこれで原因不明の生傷の謎が解けて安心しました。問題はこのままではVeilletteを弾く事ができないので一旦銅箔を剥がさなければならない事です。剥がすのは薬品で無理なく剥がせるらしいのですが,その後ハムノイズの問題をどう解決するか。銅箔が固まってしまう前に定期的に貼り換えればいいのか。それもちょっとなぁ。