Finale使えばいいってもんじゃないし,下書きみたいな手書きもどうかと思うし

 多くのミュージシャンにとっては大抵,毎年12月が大わらわで1月は一転暇な月になる事が多いのではないかと思うのですが,個人的には今年は12月から1月半ばまでがなかなかの忙しさでした。ライブのお仕事とは拘束時間そのものは入りからリハ・本番を経て撤収までの7〜10時間ほどで,曲を弾き慣れているライブであれば新曲だけ事前にチェックして当日行けば概ねきちんと演奏できるものですが,実際にはその日現場に行くまで何を演奏するのかわからないセッションもあれば,難易度が高くて1日やそこらの予習ではとても追いつかないもの,そして滅多にないですが暗譜を求められるライブもあり(私の場合ではぶっちゃけINSPIRITSだけですが 笑),そのようなライブでは数週間〜1ヶ月かけて曲を体に覚えこませなければならず,総じて演奏のお仕事に対して我々が費やしている実働時間は,演奏時間はもとより拘束時間よりもずっと長い事が多いです。
 11月から1月にかけてのライブはまさに事前の準備が必須であるライブが多く,ライブスケジュールの密度から連想されるよりはホントにホントに忙しくて大変でした。おかげでeBASSの収録が全く進まなかった事が悔やまれますが,ここからは少しずつ進められそうなのでまずは7章後半を仕上げてしまわないとな,と意気込んでおります(サンプル動画色々増やしてますので,ぜひYoutubeの再生リスト見てください)。

 予習といえば,予習できるお仕事では音源と譜面という2種類の資料が不可欠ですが,この「譜面を作る」という作業はなかなか大変で,私も自分がバンマスの時には譜面を作ってみんなに送るのが本番の直前になったりする事もあり申し訳なく思うのですが,それでもできるだけスムーズに読んでもらえるように努めて読みやすく書くように気をつけています。これはストレスなく予習してもらえるようにという意味もありますが,なんと言っても本番の時リアルタイムに読みながら弾いてもらうのですから,直感的に弾けるように音符やコードネームの配置に特に気を配るのです。これは手書きであろうと浄書ソフトであろうと同じように気をつけるべき事で,PCで譜面を作る場合でもスペーシングをすべてPC任せにしていては読みやすい譜面にはなかなかなりません。
 もちろん読み手の側にも一定の読譜能力が求められるのは言うまでもなく,私も子供のころピアノを習わせてもらったおかげで「どちらかと言えば読める方」ではあると思うのですが自分で「譜面は強いです」と胸を張って言えるほどの自信はありません。以前とある若手ベーシストのウェブサイトのプロファイルに「読譜能力に定評がある」と書いてあるのを見て「凄いな」と思った事があるのですが,もし自分が先輩ベーシストMさんのように周囲から「あの人ってホント間違えないよねー」と感嘆されるくらいなら自分でもそう標榜したいところです。けど残念ながらそこまではできないという。

 自分の場合読譜能力は「そこそこ読める」程度かもしれませんが,幸いにして若い頃楽譜浄書の仕事をしていたことがあったおかげで出版レベルの譜面を作るスキルがあり,その事はおそらく自分のバンド運営の大きな手助けになっていると思います。ライブで使う譜面はリアルタイムに読んでもらうものなので出版譜とは作るコツが少々違いますが,「読み手の気持ちになって作る」という点では同じであり,読む側の立場になってみれば書いた人が読み手の気持ちに寄り添っているかどうかはすぐに判るものです。それは「巧い下手」「手書きかPCか」という物差しとはまた違うもので,音楽は譜面が全てではないかもしれませんが,私はこの五線譜という普遍的なツールをたいそう愛していますし,最低限自分のバンドでは一緒に演奏してくれるミュージシャン達に気持ち良く演奏してもらえる譜面をこれからも渡していけたらと考えています。

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 1/27,28の土日は伊藤芳輝さん2daysです。27日は久しぶりの伊藤芳輝トリオ(@銀座No Bird),28日はスパニッシュ・コネクションのサポート(@六本木キーストンクラブ)です。自分にとっては2年前の6月にフラメンコの知識ゼロの状態で初めて芳輝さんと共演して以来数え切れないくらいのライブに誘っていただき,去年の初めにレコーディングに参加させてもらい,4月から11月まで何十箇所ものツアーを共にした全ての経験の集大成,と勝手に思っています。27日の共演者は服部恵 (perc.) 女史,28日はもちろん平松加奈 (vln.) 女史に吉見征樹 (tabla) さん。いずれも音楽愛に溢れた尊敬するミュージシャンばかりです。是非見にいらしてください。

20171028

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