2月に中級編第4章,3月に同・第5章を立て続けに開講した箭島裕治eBASS塾。順当に行けば4月に第6章を開講して無事中級編が全て揃う筈なのに,5月になっても「撮影が進んでいます」的な気配を全く醸し出していないのはなぜかと言いますと,4月は別のお仕事の準備のために撮影をお休みしてたからなんです。そんな1ヶ月も準備期間が必要な仕事とは一体何なのかといいますと,なんと明日5/7からISSEI NORO INSPIRITS 5thアルバムのレコーディングなのです。
例えばポップスの録音とかの場合,当日譜面をもらってプリプロを1回聞かせてもらっただけで「それではヨーイドン」なんてことはザラにあります。前もって資料をもらえるとしても1週間前とか3日前とかであることが多いです。この場合は予習できる期間が資料をもらってから当日までの数日間ということになりますが,ポップスでは内容が難解であることはあまりないのでそれでも十分事足ります。当日渡しの場合は予習はできませんが,同じ理由からそれで困るということはあまりありません。
また,オバタラ・セグンドのように難易度の高い音楽をやっているインストゥルメンタル・バンドの場合も,普段ライブで何度もやっている曲をレコーディングするわけですから,殊更その録音のための準備に時間がかかるということはありません。ピアノトリオ「宴」も然り。個人的にはそういう場合でも一定の準備はして臨みますが,他の仕事を減らしてまで1ヶ月もかけて準備するということはありません。
ところがINSPIRITSの場合は,完全に初めて合わせる新曲をまず11曲レコーディングするんです。そのためのリハーサルもありません。で,CDの発売日が決まったらそれに合わせてレコ発ライブをブック…という流れなので,録音当日までに各自が曲を理解しておかなければスムーズに事が運ばないのです。全曲が高速ユニゾンキメキメ…ということはありませんが,バラードやミディアムの曲もコード進行は高度なものばかりであり,その為譜面だけは半年以上前から貰えることが多いですが,プリプロはありませんので自分で打ち込むなりピアノを弾くなりしてサウンドを確かめておかなければなりません。
そんなわけで,以前Jazzlife誌のインタビューでもお話ししましたが,私はINSPIRITSの新曲の譜面をもらうとそれを全部打ち込んでプリプロを作り,サウンドを耳で覚えてからレコーディングに臨みます。難しいコードでも初見で弾く事は不可能ではないですが,最初の合奏でいきなりCDに入れられるような生き生きとした演奏をするには,目よりも耳でサウンドを理解する方が断然良いのです。
今回に関してはなんと1年前から譜面を貰えていたのですが,常に何かしら他の宿題を抱える状態が続いており年が明けても全く着手できませんでした。それでも3月くらいにはいよいよ…と思ったところでインフルエンザに罹ってしまい,1週間ほどの貴重な時間を棒に振ってしまったのが実に痛かったです。4月に入ってようやく譜面を読み始め,プリプロを作りつつ練習を進め,つい数日前ようやく全曲を完全掌握したところです。まだお伝えできませんがアルバムタイトルはすでに決まっているそうで,私の中でもどの曲にどんな楽器を使うかほぼ決定しています。
この録音が終わればeBASS塾の撮影もすぐに再開されると思います。実は6章も9割がた撮り終わっていますので,再開されれば遠からず開講をお知らせできる事でしょう。そこから先暫くはまたeBASS塾で忙殺されると思いますが(笑),おそらく私も人生の折り返し地点は過ぎていると思いますし,これから先の1日1日を大切に使って色々な音楽を色々な形にして残していきたいなと思っています。音楽に生きるという事は他の色々な事を犠牲にするという事でもありますが,毎日音楽を続けていかないと後々後悔しそうですし,続けていく方が自分の性分にも合っているなと思う昨今です。
…そうそう,6/5(金)に行われる箭島裕治ベース・ワークショップもその一環ですからね(下や右にあるフライヤー参照)! コード譜によるセッションとか,サウンドメイキングとかいろいろ専門的っぽいこと書いてますが,半分くらいはライブ(しかも最高のメンバーによる)みたいなもんなのでベースや他の楽器をやってない人でも是非音楽を楽しみにいらしてください。会場は撮影スタジオですが客席とステージがある広々した空間でとても居心地が良いです。当日はお飲み物などの販売も行ってくれるそうです。ワークショップご参加のお申し込みはこちらのサイトからどうぞ!