

●「Meditation」更新しました。
いやーやっと更新できた…と思ったら年が明けてしまっていました。大変ご無沙汰しております。
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暮れの12/20,ISSEI NORO INSPIRITSの4thアルバム録音が始まりました。無事4曲録り終えたのですが,メンバーの皆さんが忙しく残り3日間の日程は1月中に散らばっており最終日は1/21です。この間は毎日練習漬けの日々になりそうですが,1月は例年それほど忙しくないのでレコーディング日程がこの期間に点在しているのはむしろ助かっていると言えます。
2012年は引越しがあったり生まれて初めて海外に行ったり,その他私的なイベントが多くて例年以上の忙しさでした。今年はINSPIRITSのレコーディング以降はスケジュール的にはそれほど忙しくない見込みですが,現在AmaKhaに関して幾つか計画を進めている最中であり,毎日家でだらだらできるという程暇にもならない予定です。私も今年40になりますし,ぼつぼつ人生も折り返している頃だと思いますし,今やれる事は毎日少しずつ進めておかないと…と常々思っています。
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5年くらい前から「やぢまさんて天然だよねー」と周囲に言われ始めて最初は「そんな筈ない,こんなにきちんと仕事をこなしている人間が何で天然なんだ」くらいに思っていたのですが(それ自体がそもそも天然なのですが 笑),それ以来色々な人に色々な点を「天然」と指摘され続け,ここ数年は自分でも自分が天然だということをよく理解できるようになりました。
そしてそれが判って以降,「『天然である』ということはあまり良くない事だな」と思うようになったのです。自分が天然ゆえの色々な失敗をするせいもありますが,いつだったか,やはり周囲に「天然」と見なされている別の人から「えっ,何でそんなことを私に言うの」と絶句するような事を言われた経験が決定的でした。そのせいでその人との関係が悪化したとかではありませんが,自分も天然であるが故に同じように人を無意識に傷つけまくっている可能性あり…と考えると,自分で「そうそうオレ天然だから」と開き直るのってひょっとしたら結構な大罪なんぢゃないかしら,と思い始めたのです。
そしてごくごく最近,その考えがまた翻り「まぁ天然で良かった部分もあるかもなー」と思うようにもなりました。「天然」とは有り体に言えば「何かのアンテナが欠落していて常人ではやりそうにない言動や行動に出る人」的な意かと思いますが,そうした行動は人を傷つける事もあれば笑わせる事もある(この動画とかが最たる例です)と思いますし,濃い人間の多いミュージシャン界であまりにアンテナが立ち過ぎていると人間関係だけで精神が簡単に摩耗してしまうのではないかとも思うのです。もちろん天然と心の病を兼任している人もいると思いますが,そうした人は何かのアンテナが無い代わりに他のアンテナがもの凄く感度が良いという事なのでしょう。
そして更に,これは全く自覚はありませんが,おそらく「天然にしかできない演奏」もあるのではないかと思うのです(笑)。最近あちこちにこの事を書いているような気がしますが,この仕事をやればやるほど「演奏って,ほんっと演奏者の人格そのものなんだなぁ」と私は思います。そうすると,天然たる自分は「天然な音楽」を意図せずにやっている可能性も大いにある訳です。もちろん曲順や譜面のサイズを間違えたりする事務ミスはできれば避けたいですが(笑),何か自分の「天然」が演奏にいい影響を及ぼしているといいなぁ,とも思います。
だからと言って「今後も『天然』でいいや」と思っている訳でもありません。「演奏=人格」であるならば,演奏が根本的に成長するためには人間的な成長がまずありきという事になります。そして,今のところ私にはおそらくそれは真理なのであろうと思えます。今後肉体的には劣化が予想されるため今まで以上に練習を重ねなければならないとは思いますが,40過ぎて自分自身を変えていく事はおそらくそれ以上に大変なのではないかと想像します。しかしもし自分を変えてくれる人がいるとすればそれは見知らぬ人よりも友人,友人よりも家族,家族よりも伴侶,そして最も頼れるのはおそらく自分自身に他ならないのでしょう。成長と脱天然もイコールではないかもしれませんが,自分としては少なくとも他人を傷つけるような天然成分は無くしていきたいです(笑)。そしてもしそれが叶った時,どんな音楽が自分から生まれるのか,今からとても楽しみにしています。
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皆様本年も,AmaKha共々どうぞよろしくお願い致します。
11/18〜27の間、今年2度目の海外に行っており電話が取れません。メールは生きておりますのでお手数ですがお仕事のご用件はメールフォームまでお願い致します。ちなみに今回の海外はお仕事ではなく物見遊山です。あぁまた苦手な飛行機だ…
先日お風呂に入った時「イテッ,何か右腕が沁みるな」と思って見てみると上腕部に全然覚えの無い引っ搔き傷がいくつも。少々びっくりしたもののこういう経験は今までに皆無ではなく,概ね機材の搬入出の時に壁に擦ったりして知らないうちに怪我をしているケースが多い。でも引っ搔き傷ってのは珍しいよなー,などと思いつつそんなに気にもせずその晩は風呂から上がって歯磨いて就寝。
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翌晩,また風呂に入った時「イテッ」。おかしいな,そんな昨日の引っ搔き傷が一晩経っても痛い訳が…などと思って右腕を見て仰天。

生傷が倍に増えてた
全然思い当たるフシがなくさすがにちょっとしたパニックに。家族には「アナタ私に隠れて猫飼ってんでしょ」とか言われるし,でも今は飼ってないし。全くもって気味が悪い。第一こんなに怪我してるのに一日の終わりまで気づかない自分が怖い。
ともかく気持ちを落ち着かせてその日と前日の自分の行動の共通点を探してみたのだけど,「ベース弾いてた」事くらいしか思いつかない。搬入出はその日はしてたけど,前日はしてない。確かに右腕はベースに関係ありそうだけど,こんな怪我をした事なんて一度も無いんだけどなー…あっ。
一つ思い当たる点があって,よく使っているベース(エルリック6弦)のブリッジを見てみた。ベースの弦の根元はボールエンドという金属パーツに細い芯線が巻き付けてあって,まれにこの芯線の先が飛び出ていて弦交換の時に指に刺さったりする事があるのだ。きっとスラップした時にこの芯線が腕に刺さっていたんではないだろうか。ライブ中だったのでテンション上がってて怪我してるのに気づかなかったんだよ。そうだよきっと。…ところが。

異常なし
とんだ濡れ衣を弦に着せてしまった模様。どの弦からも芯線は飛び出ていないし,第一怪我をした箇所はブリッジには全然当たらない。むしろ2フィンガーの時にベースのボディ側面が触れる場所。もちろん塗装が剥がれてもいないボディ表面にササクレなどできる訳がないし,他の楽器だって…あ。

発見
原因はVeilletteフレットレスでした。これ,どうなっているのかというと,ハムノイズを回避するためにボディに銅箔を貼ってるんです。で,演奏中常に腕に触れさせてアースを落としていると。普通のベースならこんな細工は必要ないのですが,ナイロン弦を張るこの楽器ではこうでもしないとアースがうまく落ちないんです。
銅箔は貼ったばかりの時は柔らかいんですが時間が経つとどんどん強張って来てしまうんですよね。で,皺になった部分は剥がれると鋭利に尖るんです。金属ですからね。そこに裸の腕を知らずに乗せてノリノリでベースを弾いてた私。気付けよ私。
…まぁともかくこれで原因不明の生傷の謎が解けて安心しました。問題はこのままではVeilletteを弾く事ができないので一旦銅箔を剥がさなければならない事です。剥がすのは薬品で無理なく剥がせるらしいのですが,その後ハムノイズの問題をどう解決するか。銅箔が固まってしまう前に定期的に貼り換えればいいのか。それもちょっとなぁ。