8年目のフルモデルチェンジ

 ご覧の通り,ウェブサイトを完全リニューアルして頂きました。今回もアプレットさんのお力添えによる素晴らしいデザインです。びっくりした? ねぇ,びっくりした?

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 …すみません,あんま嬉しくてついはしゃいでしまいました。実はこのNewサイト,試運転中すでに別URLでwebにアップされており,いくつかのエントリーはGoogle検索とかにばんばん引っかかってましたので公開前からお気づきの方もいたかも知れませんね。各コンテンツの情報が色々と古くなっていたり,リンク切れ等も色々あったせいで私が詳細を整えるのに多少時間がかかってしまいましたが,やっとこうして公開の日の目を見る運びとなりました。嬉しいよー。前サイトと書式等が色々違うせいでMeditationの過去ログやLinkのページ等いろいろと突っ込みどころが残っていますが,更新しながら少しずつ直して行きます(8年前もそうでした)のでどうかご了承ください。

 そしてそして,3/11のAmaKhaライブ@Hey-JOEにお越し下さいました皆様,ありがとうございました! あの場にいた方々なら判ると思うのですが,もう笑い過ぎて帰りしな腹筋が痛かったです(笑)。ともかく山崎史子巧すぎ。そして面白すぎ。「歌ものに参入する事ってあまりない」という言質が嘘かと思えるほど自然で華麗なアンサンブル,迫力あるソロ,そして迷走を極めるMC(笑)。こんな面白い人他にいません。是非またAmaKhaと共演して頂き,お客さんに感動と笑いを与えてほしいです。
 AmaKhaの次回ライブは4/29,私にとってはずいぶん長い事お世話になっている調布GINZさんでの久々のリーダーライブでの出演です。日曜日ですので少し時間を早めに設定して頂きました。詳しくはScheduleのページをご覧下さい!

 今回のサイトリニューアルで更新もやりやすくなったので,これから少しずつ手元に溜まった情報を追加していきます。今後とも当サイトをどうぞよろしくお願い致します。


1歳になります(バンドが)

 横浜に於けるフュージョンの聖地,Hey-JOEさんには私は客として1度行った事があるだけで演奏した事は無い(三科女史は他のバンドで出た事があるみたいです)のですが,今日11日,AmaKhaのライブで初めて出演させて頂ける運びになりました。AmaKha自体も発足の話が持ち上がったのは一昨年の9月くらいですが,初めてのライブは去年の3/20でしたので特にアナウンスもしていませんが明日は(ほぼ)1周年の記念ライブという事になります。

 

 そしてこれもアナウンスはしていませんが,3/11と言えばもちろんかの震災から丁度1年を迎えるその日に他なりません。私個人は幸い怪我もなく親族にも災禍はありませんでしたが震災の前後には色々な出来事がありましたし,3/11で感じた葛藤の先に自分の中で何かが変わったという自覚もあるので,AmaKhaの事を脇に置いても自分自身にとってある節目を今日迎えるのだなという感慨はあります。でも今日は震災の事が頭にあっても無くても,演奏する側も聴く側も,その時の自然な気持ちで音楽を一緒に楽しめる一日になってくれればそれでいいと思います。私は今の自分から自然に出てくるものを演奏にするだけですし,AmaKhaはゴスペルという音楽を通じて楽しさや強い想いを皆さんにお届けするだけです。

 さて2011年は私にとって事件のオンパレードと言えるような年だったのですが,そのうちの一つがヴァイブラフォン奏者山崎史子さんと知り合えた事でした。銀座Swing Cityがブッキングしてくれるライブは全員が「初めまして~」で挨拶もそこそこに曲を出し合ってリハーサルしてすぐ本番,というスリリングなパターンが多いのですが(おかげでたくさんの素晴らしいミュージシャン達と知り合えました),史子さんと最初にお会いした時「初めまして~」でリハが始まってすぐ「この人すげー!」と目を奪われてしまったのをよく覚えています。以後同じSwing Cityでの共演が一度あるだけなのですが,いつか「」とかに呼べればなぁ…と思っていたところに意外にも三科女史が「AmaKhaにヴィブラフォンの人呼びたい」と提案してくれたので,今日のライブでの史子さんのゲスト参加が実現したんです。私は史子さんに会うのが今回で3度目,おそらく5ヶ月ぶりなんですが,その間に件のSwingCityも閉店してしまい,時代と共に少しずつ自分を取り巻く音楽環境も変わりつつあるんだなぁと実感しています。自分も音楽自体を変えていく一人として,明日は同年代の仲間(それでも自分が一番年上ですが)と良いライブになるよう精一杯楽しみたいです。明日観に来てくださる皆さんには,山崎史子さんの素晴らしい演奏と迷走するトークのギャップも楽しんで頂きたいです(笑)

 さあ,2年目に突入するAmaKhaの成長ぶり,皆さん是非観に来てください!


10~20代男子のコミュニケーション能力の低さが心配

 世界的なベーシスト,エイブラハム・ラボリエル氏に6年前にインタビューさせて頂いた時,氏の口から一番多く聴けた単語(もちろん「the」とか「a」以外で)はおそらく「Communication」だったと記憶している。ジャズなどに於ける即興の応酬はもちろん,どんなリズムフィールを選ぶのか,どのくらい音数を入れるのか,果てはサウンド作りやPAとのやりとりまで,どんな音楽を演奏するどんな要素も結局はCommunicationに収斂するんだ,というような事を氏は熱く語ってくれたのだ。
 自分でもベースを教えている身としてこれを生徒に伝えなくてはなぁ…と今でも思っているのだが,バンド形態でレッスンできるのならともかく,ベーシスト(講師)とベーシスト(生徒or生徒達)とシーケンサーしかアイテムが無い環境ではそれを伝えるのは実際のところなかなか難しい。たとえば個人レッスンの生徒が自分のバンドの音源を持ってきたり,私がピアノを弾いて生徒のベースとセッションできるような事があるとコミュニケーションのヒントも少しは提示できるのだけど,ベーシストばかりのグループレッスンでは楽器を弾くスキル自体を磨く事しか出来ないし,実際殆どの生徒には音楽的なコミュニケーションを築けるほどの演奏技術や音楽的知識/余裕がまだ無いので,今のところはテキストの弾けないものを弾けるようになってもらう事だけで私のレッスンはほぼ成り立っている。

 そして生徒のみならずプロアマ含めた色々な音楽人を見ていて思うのは,結局のところ音楽のコミュニケーションが出来る人は人間としても良いコミュニケーションが取れるという事に他ならないのだろう,と。それは人見知りをするだとか誰とでも打ち解けられるだとかいう事ではなく,例えば相手の興味を考えた物言いや話の選び方が出来るという事。自分の洞察の深度が相手とかけ離れていたりしていないか,要点が無さ過ぎて相手が「それで?」としか言いようの無い話になっていないか,内容の無い相槌なんぞを打っていないか。斯く言う私もそんなことが巧く出来ているとは思えないし,仕事以外の日常にそこまで気を遣うなんて疲れる人生にも思えるのだけど,深い演奏が出来る人はやっぱり思索も深いし,演奏が面白い人間は大抵人間も面白いし,そして思い遣りのあるプレイヤーは共演者を引き立たせる事すら出来るのだ。そう考えると少々大変でもさ,日常でも音楽でも周囲に必要とされる存在である方がいいよねー。気を「遣う」のも,思い「遣る」のも同じ字なんだし。

  …なんて話を生徒にしたって伝わんねーよなー。「あんたが言うなよ」って言われて終わりか(笑)


教則本等

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表紙
思ひ出
 執筆に半年以上,企画から数えるとまるまる1年を費やしたワタクシの最初(で最後?)のベース教則本です。企画発足当初は「『アンソニー・ジャクソン奏法』なんてどうでしょう」などというコアな指針で盛り上がっていたのですが,様々な紆余曲折を経て結局オールジャンル網羅・中~上級者向けの教則本といった体裁になりました。総字数111,053字(Wordによる文字カウント。製品では若干シュリンクされています)はおそらく今後の人生で二度と書けないボリュームかと思われます(笑)。内容はベース・ライン・メイキングのノウハウの他,主にアーティキュレイションによるグルーヴのコントロールや多弦ベースにおけるミュート方法などかなり微細な話にまで突っ込んだ解説を盛り込んでいます。殊に多弦に関してはジャンル毎の章と並べて「多弦ベース編」という章をわざわざ設けたり,他の章でもLow-B/High-C弦を使った譜例を積極的に設けるなど,他に例を見ないほど多弦ユーザーに配慮した内容になっています。もちろん4弦ベーシストから見ても充実した内容になっていますが,難易度もそれなりに高いのでどんなベースを使っているプレイヤーであろうとやりがいのある一冊にはなっているはずと自負しております。また本書にはCDが付いており譜例ごとの模範演奏とマイナス・ワンが容量パンパンに納められています。音源の制作もワタクシがやらかしましたが一部ギターとピアノの演奏をChild豪ちゃんみちよんに託しておりCDだけでも結構楽しめるはずです。

Jazz Bass Player Vol.1
(Shinko Music Pub., 2005)
 2005年10月にシンコーミュージックから発売されたムックで,エレクトリックベース(殊に多弦ベース)に特化した内容の,ベースプレイヤー向けの専門誌です。何とこの記念すべき創刊号にやぢまもライターとして参加させていただいており,下記の各コーナーに総字数55,000字を寄稿しました(誌面上では半分くらいにシュリンクされていますが)。


●【巻頭インタビュー】エイブラハム・ラボリエル(インタビュー,文)
●【リアル・ドキュメント】エイブラハムの頭脳を覗く(解説,採譜)
●多弦ベース黙示録(全文)
●【伝説を追え!】ジョン・パティトゥッチ(文,解説,採譜)
●エレクトリック・ベース初心者のための4ビート・ベースライン・メイキング(全文)
●【スペシャル対談】八尋洋一×グレッグ・リー(インタビュー,文)
●エレクトリック・ベース&アンプ白書(試奏,解説)
●Jazz Bass Player Review (レビュー)
●【スコア】Armando’s Rhumba (採譜,解説)


 何せモノ書きとしての仕事を頂いたのは初めてでしたので作業に異様に時間がかかったり編集サイドに迷惑をかけたりとド素人ぶりを発揮しまくりでしたが,単なる一(いち)ベーシストとしてではなかなか味わえないであろう貴重な体験を沢山々々させていただきました。大尊敬するエイブラハム・ラボリエル氏とお会いでき,お話しさせて頂くことができたのは一生の思い出です。八尋洋一さん,グレッグ・リーさんにもこの場をお借りしまして心からのお礼を申し上げます。